日本はフォーマルウェアへの親しみが薄く、歴史もあまりありません。「とりあえずこれなら大丈夫だろう」と皆が同じような黒いスーツを着るので、海外の方からは「みんな同じブラックスーツ!」「まるでお葬式みたい」と見られるようです。
しかしそれも一昔前のこと。今では自分ならではのアレンジを取り入れて、よりおしゃれなフォーマルウェアを楽しむ方が増えてきました。とはいえ、マナーをきちんと押さえなければ正しいおしゃれとはいえず、浮いた存在になってしまいます。まずは“外してはいけない基本マナー”をおさらいしましょう。
もっとも格式高い場とは、公式行事や式典などです。そこでは燕尾服などがふさわしい服装となりますが、通常の結婚式では自由なスタイルが一般的になってきています。ダークカラーのスーツ、少し光沢のあるシルバーグレーのネクタイ、胸にはポケットチーフ……特に若い世代でフォーマルウェアのおしゃれが高まっています。
「ブラックスーツに白ネクタイ」という古くからの定番スタイルから脱却して、華やかなお祝いの席にふさわしいおしゃれを楽しみませんか? 同じダークスーツでも、ネクタイやポケットチーフでガラリと印象が変わります。
フォーマルウェアといっても、シーン別で使い分ける必要があります。基本中の基本、正礼装・準礼装・略礼装の3つをご紹介します。
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叙勲の授与式や宮中行事など、公式な場にふさわしいのがモーニング。わかりやすい例でいえば、内閣発足時に閣僚たちが着用しているものがそれです。限られたシーンでしか着用されませんが、結婚式でも新郎新婦の父・祖父が着用することがあります。
この場合は正礼装であるため、正当なルールを守ることが大切です。アレンジを加えることなく、ルール通りに着こなすのがいいでしょう。
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もっとも出番が多いのが、ディレクターズスーツやブラックスーツの準礼装。フォーマルでありながらもアレンジの幅が許される装いなので、おしゃれを楽しめる反面、着こなしが難しいという点もあります。
以前までは、正礼装(モーニング・タキシード)もしくはブラックスーツ、というスタイルしか選択肢がありませんでしたが、今ではブラックスーツよりも格上のディレクターズスーツが人気を集めています。ドレスコードで正礼装指定をされていなければ、親族であってもディレクターズスーツで問題ありません。
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パーティーや食事会、観劇やコンサートなどのちょっと特別な席にふさわしい略礼装。結婚式であっても、ドレスコードが平服指定である場合や、仲間内のカジュアルなウェディングパーティーであれば略礼装でも構いません。
守るべきルールとして
- ドレスシャツを着る(ワイシャツではありません!)
- アスコットタイやネクタイなどのネックウェアを着ける(白ネクタイでなくてもOK)
- ジャケットを羽織る
の3つがありますが、これさえ守っていればほとんど制約がないのでネクタイやポケットチーフなどの小物類であなたらしいおしゃれを楽しみましょう。